近年、台風や集中豪雨による浸水被害が全国的に増加しています。国土交通省の調査によれば、気候変動の影響により「これまで被害が少なかった地域」においてもリスクが高まっていることが報告されています。
本記事では、住宅が浸水した際に取るべき行動や、事前に講じておくべき対策を専門的な観点から解説します。
この記事で分かること
浸水に備えるための準備
浸水時の安全な行動
浸水後の復旧と保険対応
もくじ
浸水に備える事前対策
家具・設備の配置と保護
- 家電・家具のかさ上げ
冷蔵庫や洗濯機などの大型家電は、専用台座やブロックを利用して床面から数十センチ上げて設置することが推奨されます。 - 貴重品の保管場所
重要書類、思い出の品、非常用品などは2階以上の高所に保管しておくのが望ましいです。
止水・逆流防止対策
- 止水板・水嚢の設置
玄関や駐車場入口には簡易止水板を設置することで、短時間の豪雨による浸水を抑制できます。 - 排水口・トイレの逆流防止
下水道の逆流を防ぐために逆流防止弁の設置や水嚢の利用が効果的です。
ハザードマップの確認
- 自治体が公開する 洪水・内水氾濫ハザードマップ を確認し、自宅周辺の想定浸水深を把握することが不可欠です。
- 避難経路や最寄りの避難所も事前に家族で共有しておきましょう。
浸水発生時の応急対応
感電・火災防止
- 浸水の兆候が見られたら、速やかに 電気のブレーカーを遮断 してください。
- ガスの元栓も閉め、二次災害を防止します。
浸水時の対応
- 土嚢が不足する場合、 ポリ袋に水を入れて即席の水嚢 として利用可能です。
- 家具や家電は可能な限り高所へ移動させ、被害を軽減します。
避難の判断基準
- 床上浸水や膝下まで水が到達した場合は、自宅に留まらず早急に避難 してください。
- 夜間や豪雨時の移動は危険を伴うため、気象庁の避難情報や自治体からの指示を常に確認することが重要です。
浸水後の復旧・衛生管理
安全確認
- 片付けに入る前に、電気・ガス・上下水道の安全確認を行います。
- 防護具(マスク・手袋・長靴)を着用し、感染症対策を徹底してください。
乾燥・消毒
- 被害を受けた床材や壁材は速やかに乾燥させることがカビの発生防止に繋がります。
- 消毒には次亜塩素酸ナトリウム(家庭用漂白剤を適正濃度に希釈)を用いると有効です。
保険と記録
- 火災保険や水災補償の対象となるケースがあります。
- 被害状況は片付け前に 写真で記録 を残し、保険申請に備えましょう。
まとめ
浸水被害は想定外の地域でも発生し得ます。そのため、
- 家具・家電のかさ上げ
- 止水板や逆流防止策の設置
- ハザードマップの確認と避難経路の共有
これらを事前に実施しておくことが極めて重要です。被害を受けた後も、感電や感染症のリスクに注意しつつ、冷静に復旧を進めることが求められます。
「備えを徹底すること」こそが、命と生活を守る最大の防御策です。
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