建物の用途とは
建築基準法では「診療所」「共同住宅」「図書館」「工場」など建物の用途が定められています。
確認申請をする際には申請する建物が何の用途に該当するか記載する必要があります。そして、建物の用途に応じて、構造・耐火の条件など必要となる建物の基準が異なります。特に抑えておきたいポイントは用途変更後の建物が「特殊建築物」に該当するかどうかです。
特殊建築物とは「劇場」「病院」「学校」「百貨店」「倉庫」「自動車車庫」などの用途の建物のことを指します。特殊建築物は建築基準法の別表第1に具体的な用途が記載されています。
特殊建築物は不特定多数の利用、危険物の貯蔵などの理由から、一般の建物より構造・耐火の条件など必要となる建物の基準が厳しくなっています。
用途変更とは
用途変更とは簡単に言えば、建物の用途を変更することです。
例えば、廃校になった高校をホテルとして利用するとしましょう。そうすると、建築基準法や消防法などで求めれる基準が異なるので、建築主事(特定行政庁)に届け出をしないといけません。
建築主事(特定行政庁)は都道府県や政令指定都市の建築窓口をイメージしてもらえればよいです。
では、具体的にどのような場合に用途変更の手続きが必要なのでしょうか?下記の2つともに該当している場合のみ届出が必要です。
ただし、該当用途の変更が政令指定でしていする類似の用途相互間におけるものである場合は除きます。
類似の用途ってなんですか?
例えば、下記のものをイメージすると良いでしょう。これらは建物の用途が似てるので、そもそも手続きが必要ありません。
「体育館」を「ボーリング場」にする。
「映画館」を「劇場」にする。
「レストラン」を「バー」にする。 等
確かにそうですね!
用途変更における届出の流れ
主な手続きの流れとしては下記の通りです。
①建築事務所に相談
②図面・書類・計算書などの書類作成
③建築事務所を通じて、特定行政庁の窓口で相談
④特定行政庁へ届出(着工前)
⑤工事
⑥特定行政庁へ届出(工事完了後)
※特定行政庁による完了検査はありません。
※消防・保健所の完了検査は必要になる場合があるので、所管する消防署等へ問い合わせが必要です。
建築事務所に委託すると、お金がかかるから、自分で手続きができませんか?
用途変更の届出は図面作成をしたり、建物が建築基準法や消防法・バリアフリー法等の関係法令に適合するかチェックし、必要な工事が生じる場合は改修図面も作成します。ですので、建築士の専門知識が必ず必要になります。
必要な費用として、事業計画に見込んでおくのがよいでしょう。
届出に必要な書類を作成するのって大変なんですね。
そうです!
既存建物の「確認済証」「検査済証」「図面」等の書類が揃っていれば、良いのですが、既存書類が残っていないケースが多いので、手続きはさらに大変になります。
物件を購入する際は「確認済証」「検査済証」「図面」等の書類の有無も確認する必要がありますね。
まとめ
用途を「特殊建築物」に変更し、かつ、用途変更する床面積が200㎡を超える場合に用途変更の届出が必要なります。その際、既存建物の「確認済証」「検査済証」「図面」等の書類が必ず必要なるので、書類があるか確認をして下さい。また、届出は専門知識が必要になるので、建築事務所に相談をしましょう!
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