近年、急激な建築価格の高騰が見られる中で、その背後にある多くの要因が絡み合っています。原油価格の上昇や労務単価の増加は直接的な影響を及ぼしており、円安進行は輸入建材コストの上昇を引き起こしています。さらに、ウクライナ・ロシア情勢も国際市場に波紋を送り、建材供給の不安定化を引き起こしています。この記事では、これらの要因がどのように連動して建築価格を押し上げているのかを詳しく解説します。この高騰現象を理解することで、適切な対策を講じる手助けとなればよいです。
建築価格の高騰率
建築価格の高騰の原因・背景
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建築価格の高騰
集合住宅(鉄筋コンクリート造)
東京での平成27年(2015年)を基準(100%)としてます。
出典;建設物価調査会より
2015年と比較すると、2023年7月の工事費は125%程にUPしてます。建築価格の高騰は続きますね。。。
コンクリート、金属製品のUPが大きいようです。
事務所(鉄骨造)
出典;建設物価調査会より
2015年と比較すると、2023年7月の工事費は130%程にUPしてます。
住宅(木造)
出典;建設物価調査会より
2015年と比較すると、2023年7月の工事費は135%程にUPしてます。
ウッドショックが落ち着き、下落傾向にあることもありますが、サッシ等の金属製品の金額がUPし、全体の上昇率は2023年1月ごろから横ばいですね。
建築価格の高騰の原因
原油価格の増加
原油価格の増加は、建築産業にとって深刻な問題となっており、その影響は多岐にわたります。
まず、原油は多くの建築材料の製造に使われる主要な原料です。例えば、アスファルト、塑性剤、潤滑油など、多くの製品が原油からつくられています。原油価格の上昇は、これらの材料のコストを直接増加させ、結果として建築プロジェクトのコストも増加させます。
また、原油は輸送燃料の主要な源でもあります。その価格上昇は、建材の輸送コストを高めることになります。更に、建設機械や車両の燃料コストも上昇し、これが建築業界に追加の負担をもたらしています。
原油価格の増加は世界的な現象であり、供給と需給のバランス、地政学的な緊張、通貨の変動など、多くの外部要因に影響を受けていますので、価格の変動は気になるところです。
原油価格の増加が建築資材や輸送費の増加につながっています。
建築工事には重機を用いますので、工事費は直接的に増加します。。。
人件費(労務単価)の増加
近年、建築業界では労務単価の増加が顕著なトレンドとなっており、これが建築プロジェクトのコスト増加の一因となっています。この背後には様々な要因が存在します。
まず最初に挙げられるのは労働力不足です。技能労働者の高齢化と若者の建築業への関心低下が労働力不足を引き起こしており、企業は質の高い労働者を確保するために競合他社よりも高い賃金を提供する傾向にあります。この結果、賃金上昇が進行しています。
さらに、労働条件の改善もコスト増加に寄与しています。安全対策の強化や労働環境の改善は労働者への投資が増え、それが労務単価の上昇を招いています。新入社員の研修や教育に要するコストも増加の要因となっています。
しかし、この問題には解決策があります。効率的なプロジェクト管理と技術の導入を進めることで、企業は労働コストを削減し、問題を緩和することが可能です。例えば、デジタル技術の活用で作業効率を向上させる取り組みが挙げられます。
総じて見れば、労務単価の増加は建築業界にとって避けられない課題となっていますが、効果的な人材管理と労働環境の改善を通じて、企業はこの問題を一定程度までコントロールすることができます。このようなアプローチにより、建築業界は現在の挑戦を乗り越え、より持続可能な未来へと導くことができるでしょう。
国が定める技術者の労務単価も年々増加していっています。
円安
近年、円安が進行している中で、建築業界もその影響を受けています。円安の進行は、特に輸入建材のコスト増を引き起こします。日本が外国からの材料輸入に依存している場合、特殊な金属や木材などの価格が増加し、これが建築プロジェクトのコストを押し上げる要因となります。
円安は建築業界にとってはコスト増加の要因となり得る一方で、海外企業の日本への新たな投資の機会を与えている側面もあるので、建築業界は経済の変動に柔軟に対応する戦略が求められています。そして、企業は適切なリスク管理と戦略的なアプローチにより、円安の影響を最小限に抑え、建築プロジェクトを成功に導くことが求められます。
多くの建築資材は海外から輸入しており、円安の影響は大きいようです。
ウクライナ・ロシア情勢
ウクライナとロシアの情勢がは建築業界もその影響を与えてます。資源の価格が高騰しており、特に天然ガスなど基本的な資源の供給が不安定になっています。これが建築資材の価格上昇に繋がり、プロジェクトのコストが増加する原因となっています。
また、政治的不安定性が投資の不確実性を増加させている。これにより投資家がリスクを感じ、新しいプロジェクトの立ち上げが遅れるという状況が生じています。
ウクライナとロシアの情勢は建築業界に多くの不確実性をもたらしており、この困難な環境で生き残るためには適切な計画とリスク管理が不可欠です。
ウクライナとロシアの情勢による値上がりは大きいですね。
まとめ
経済の多くの側面が相互に関連しているため、建築価格の高騰は単一の要因に起因するものではありません。原油価格の増加、労務単価の増加、円安、ウクライナ・ロシア情勢など、さまざまな要因が組み合わさってこの問題を引き起こしています。建築価格の高騰はまだまだ続きそうです。
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