建物の用途に応じて「一人当たりの必要な面積」は、居住性や機能性、さらには効率や安全性といった側面からも非常に重要です。これから建物を計画する方はどれくらいの面積が必要なのか悩むことが多いと思います。そこで今回は建物の規模を把握するための「一人当たりの必要な面積」について紹介します。
建物の用途に応じた「一人当たりの必要な面積」
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住宅
- 一人当たり: 15㎡~25㎡
住宅の場合、一人当たりの生活スペースとして約15〜25㎡が考えられます。ただし、家族の構成や生活スタイルによってこの面積は変わることがあります。
飲食店
飲食店では、ダイニングエリアとキッチンスペースを確保する必要があります。ダイニングエリアについては、おおよそ一人当たり1.5〜6㎡、キッチンや裏方のスペースは全体の30%〜50%を占めることが一般的です。
定食屋
食堂や定食屋では、シンプルで機能的なスペースが求められることが多いです。席間のスペースや通路も比較的シンプルに設計されることが一般的です。
- 一人当たり: 3㎡~5㎡
居酒屋
居酒屋は、飲食を楽しみながら会話をする空間が求められます。また、座敷席や掘りごたつ席など、伝統的な日本のスタイルを取り入れた設計の場合、もう少し広めのスペースが必要となることもあります。
- 一人当たり: 3㎡~6㎡
バー
バーは、カウンター席が中心で、お酒やカクテルを楽しむ雰囲気を重視するため、カウンター席の間隔は狭くなることが多い。一方で、プライベート感を持たせるためのブース席や、グループで利用するテーブル席もあります。
- カウンター席: 0.7㎡~1.5㎡/席
- テーブル席: 2㎡~4㎡/席
カフェ
カフェはリラックスした雰囲気の空間が求められるため、広めのテーブルやソファ席を配置することが多い。しかし、市内の狭い場所などでの小さなカフェでは、スペースを効率的に使う必要がある場合もあります。
- 一人当たり: 2.5㎡~5㎡
オフィス
オフィス内にはさまざまなスペースが設けられますが、主に「執務スペース」と「会議スペース」の2つが基本的な要素として存在します。これらのスペースは機能的に異なるため、設計上の考慮点や一人当たりの面積も異なります。
執務スペース(固定席)
社員が日常の業務を効率的に行えるスペース。
- 一人当たりの面積:4㎡~6㎡
会議スペース
ミーティングや打ち合わせ、プレゼンテーションを行うスペース。
- 一人当たりの面積:1.5㎡~2.5㎡
フリーアドレスの場合
フリーアドレス制度の導入による面積効率は、組織の業務スタイルや従業員の出勤率、オフィスの使用パターンなどによって大きく変わります。しかし、一般的に、フリーアドレス制度を導入すると、固定席を持つ従来のオフィスと比較して、面積効率が向上することが期待されます。
- 一人当たりの面積:従業員全員が同時に出勤しない、または常に同じ場所で作業しないと仮定すると、一人当たりの執務スペースは約60%~80%(約2.4㎡~4.8㎡)になることが期待されます。
宿泊施設
ビジネスホテル
ビジネスホテルは、短期間の滞在を主目的とし、効率的な空間利用が重視されます。
- シングルルーム: 12㎡~20㎡/室
- ダブルルーム: 18㎡~30㎡/室
リゾートホテルやラグジュアリーホテル
リゾートやラグジュアリーホテルでは、ゆとりのある空間や高級感が求められるため、一般的に広めの設計となります。
- スタンダードルーム: 25㎡~40㎡/室
- スイートルーム: 50㎡以上/室
旅館
旅館や民宿では、伝統的な日本のライフスタイルや文化が反映された設計となっています。
和室: 8畳~12畳 (約13.2㎡~19.8㎡) 一般的な部屋の大きさ/室
カプセルホテル
カプセルホテルは、極限まで効率化された空間で、短時間の休憩や一夜の宿泊を提供する施設です。
一つのカプセル: 約2㎡~4㎡
ホステル
ホステルは、バックパッカーや若者を中心に、手頃な価格での宿泊を提供する施設として知られています。
- ドミトリータイプ: 一人当たりのベッドスペースで約2㎡~4㎡
- プライベートルーム: 10㎡~20㎡/室
その他の用途
教育施設
- 大学の講義室: 一人当たり1.5㎡~2.5㎡
- 小・中・高校の教室: 一人当たり2㎡~3㎡
保育園や幼稚園
- 遊びスペース: 一人当たり2㎡~4㎡
- 学習・活動スペース: 一人当たり1.5㎡~3㎡
工場や製造施設
- 作業スペース: 一人当たり10㎡~30㎡を目安とすることが多い。(作業内容や機械の大きさによる)
上記の数値は建物・施設の用途に対しておおよその想定をたてることができます。
そして、具体的な使い勝手によっては異なってきますので、建築士へ相談することをおすすめします!
まとめ
建物の用途に応じて一人当たりの面積を適切に計画することは、その建物が持つ機能や価値を最大限に引き出すための鍵となります。建築士としては、クライアントの要望や利用シーンをしっかりと理解し、最適な面積を提案することが求められます。
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