建物の構造の種類の選び方のポイント!

建築を考えている皆様へ、建築を建てることは多くの決断を必要とするものでもあります。その中でも、特に重要なのが建物の構造を選択することです。この記事では、建築士の視点から建物の構造の選び方を解説します。

この記事で分かること

建物構造の種類の選び方

この記事を書いた人-【キキ先生】

・一級建築士

・インテリアプランナー

・宅地建物取引士

・建築・インテリア、不動産に関して専門家としてアドバイスします!

もくじ

選び方のポイント

用途と規模

建物の用途(住宅、オフィス、商業施設など)と規模(大規模、小規模)でどの種類の建物構造が適しているかがおおよそ決まってきます。住宅などの小規模な建物は木造、オフィス・商業施設などの大・中規模な建物が鉄骨造もしくは鉄筋コンクリート造を採用します。

コスト

初期投資だけでなく、メンテナンス費用やライフサイクルコストも考慮します。例えば、建設費用は鉄骨造や鉄筋コンクリート造が高いですが、その後のメンテナンス費用は木造が高くなることが多いです。

メンテナンス

建物構造の種類に応じてメンテナンスが異なってきます。建設時だけではなく長期的な視点で検討する必要があります。一般的に木造がメンテナンスを多く要し、鉄骨造・鉄筋コンクリート像は木造よりメンテナンスが少なくなる傾向にあります。

デザイン

建物のデザインはその使用感や快適性を大きく影響します。建築構造によっては、デザインの自由度が制限される場合もあります。

耐用年数と性能

建物構造の種類に応じて耐用年数と性能が異なります。木造→鉄骨造→鉄筋コンクリート造の順に耐用年数は多くなります。耐久性、防火性などの性能も木造→鉄骨造→鉄筋コンクリート造の順に上がます。

建物の構造とは

まず初めに、建物の構造とは何かを理解することが重要です。建物の構造とは、その建物がどのように支えられ、安定性を保つかを決める部分を指します。基本的には、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造の3種類が一般的に使われています。

それぞれには、特徴や長所・短所があります。これらを理解することで、自分のプロジェクトに最適な構造を選ぶことができます。

木造

木造は、人間の生活とともに長い歴史を持つ建築構造です。木材は自然から得られる素材で、そのままではもちろん、加工して用いることも可能です。このため、デザインの自由度が高く、暖かみのある空間をつくることができます。

しかし、木造の建物は、火災に弱く、また老朽化が早いという欠点も持ち合わせています。さらに、大規模な建物を建てる際には、構造的な制約が生じる可能性があります。

用途と規模

木造建築は、一戸建ての住宅、二階建ての店舗や小規模な事務所、コミュニティセンターなどによく用いられます。規模としては2階建てぐらいの小規模で用いられることが多いです。最近は法律の改正により、木造としては比較的大きい3階建ての規模もあります。

木造は木のその自然な美しさと温かみから、人々がリラックスしたり、コミュニティを形成する空間に適しています。しかし、木造の建物は火災に対して脆弱であるため、火災規制が厳しい場所や用途には適していません。

コスト

㎡単価は約20万円~35万円程度が一般的です。ただし、設計や仕様によりこの価格は大きく変動します。

木造建築の初期コストは比較的低い傾向にありますが、その寿命は他の建築構造に比べて短いため、頻繁に修繕やリニューアルが必要となります。また、木造は経年劣化が顕著であるため、維持管理にもコストがかかります。さらに、木材は絶縁材としての性能が限られているため、冷暖房費が高くなる可能性もあります。

メンテナス

木造建物は、経年劣化や虫害、腐朽などによるダメージから保護するため、定期的なメンテナンスが必要です。特に防虫、防腐処理や塗装の更新などは定期的に行う必要があります。これらのコストは他の構造体に比べて高めになる可能性があります。

耐用年数と建物の性能

木造の建物の耐用年数は一般的に30年から60年程度とされていますが、適切なメンテナンスを行った場合、それ以上持つこともあります。また、木材は適切に保護されていない場合、湿度や虫害に弱いという特性があります。これに対し、木造建築は通気性が高く、湿度調整に優れています。火災には弱いですが、防火処理を施すことで改善することも可能です。

デザイン

木造建築はその素材感がデザインに大きく影響を与えます。木は温かみがあり、自然な風合いを持っているため、親しみやすい雰囲気を作り出します。また、木造は柔軟性があり、独特な形状や曲線を作り出すことが可能です。しかし、木の強度の限界により、大規模な建築や高層建築には向かない場合が多いです。

キキ先生

建物規模が2~3階以下で、イニシャルコストを抑えたい場合に木造を採用することが多いです。

鉄骨造

鉄骨造は、その名の通り鉄を主体とした構造です。強度が高く、木造に比べて大規模な建物や高層の建物を建てることができます。また、火災に対する強度も高いという特徴があります。

ただし、鉄骨造の建物は、その構造上、断熱性が低いため、冷暖房費が高くなることがある点および鉄は錆びる可能性があるため、維持管理には注意が必要です。断熱材や鉄骨部への錆止め塗装を施工することで欠点を補うこともできますので、適切なメンテナンスを行いましょう。

用途と規模

鉄骨造の建物は、その強度と柔軟性から、中規模のオフィスビル、商業施設、学校、病院などに適しています。また、内部の間取りを自由に変更することができるため、テナントの変更が予想されるレンタルスペースや、将来的な拡張が考えられる施設にも適しています。

コスト

㎡単価は約30万円~60万円程度が一般的です。ただし、建築の詳細な仕様やデザインにより、この価格は変動します。

鉄骨造の建築は初期コストが高いですが、その寿命は木造に比べて長く、耐久性もあります。したがって、修繕やリニューアルの頻度は低く、運用・維持コストも抑えられます。また、断熱材を適切に施工することで、冷暖房費を抑制することも可能です。

メンテナンス

鉄骨造の建物は鉄部分の防錆処理が必要となります。また、建物の外装や内装のメンテナンスも必要となるため、これらのコストを考慮する必要があります。しかし、鉄骨造は木造に比べると耐久性があり、メンテナンスコストは一般的には木造よりも少ない傾向があります。

耐用年数と建物の性能

鉄骨造の建物の耐用年数は一般的に50年から100年程度とされています。耐火性は木造に比べて高いですが、鉄自体は錆びる可能性があるため、防錆処理や定期的なメンテナンスが必要です。また、鉄骨造の建物は金属が熱を伝えやすいため、断熱性に劣ります。

デザイン

鉄骨造の建築は、その高い強度と柔軟性により、大規模な建築や複雑な形状の設計を可能にします。また、開放感のある空間を作り出すために、柱や梁の配置を自由に設計することができます。鉄骨造の建築はモダンで産業的な雰囲気を持っており、そのスタイルがデザインに大きく影響を与えます。

キキ先生

建物規模が2~3階以上で、鉄筋コンクリート造よりイニシャルコストを抑えたい場合に鉄骨造を採用することが多いです。

また、商業施設など大空間を計画する場合に鉄骨造を採用するケースもあります。

鉄筋コンクリート造(RC造)

鉄筋コンクリート造(以下、RC造と記載)は、鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造で、強度が非常に高いことが特徴です。これにより、高層ビルなどの大規模な建物を建設することが可能です。また、耐火性、耐久性にも優れています。

しかし、その強度と安全性を保つためには、高いコストが必要となります。さらに、コンクリートは乾燥するまでに時間がかかるため、建設期間も長くなります。

用途と規模

RC造の建物は、その耐久性と強度から、高層のオフィスビル、マンション、ホテル、公共施設などの大規模な建物に最も適しています。また、防火性や防音性が高いため、都市部の混雑した環境や、静寂が求められる施設(例えば図書館や博物館)にも適しています。

コスト

一般的には、㎡単価は約60万円~100万円以上となります。しかし、規模が大きくなるほど単価は下がる傾向にあります。なぜなら、大規模なプロジェクトでは一部のコストが規模による経済効果により削減されるためです。

メンテナンス

RC造の建物は非常に耐久性が高いので、定期的なメンテナンスの必要性は木造と鉄骨造に比べて低いです。しかし、鉄筋の腐食やコンクリートのクラックなどに注意を払い、必要に応じて修繕を行う必要があります。

耐用年数と建物の性能

RC造の建物は耐用年数が最も長く、一般的には100年以上とされています。コンクリートと鉄筋の組み合わせにより、高い耐火性、防水性、耐久性を実現しています。ただし、建築の質や地域の気候条件、維持管理の状況によっては、コンクリートの劣化や鉄筋の腐食が問題となることもあります。

デザイン

RC造の建築は非常に強固で、大規模な建築や高層建築に適しています。また、鉄筋コンクリートの特性を利用すれば、複雑な形状や大きなスパンも可能になります。しかし、その重厚感からくるデザインの制約もあります。一方で、この重厚感を活かしたモダンで洗練されたデザインも可能です。

キキ先生

建物規模が高層のオフィスビル、マンション、ホテル、公共施設などの大規模な場合に採用することが多いです。

耐久性の高さ、耐用年数の長さが大きな利点です。

まとめ

建物構造を選ぶことは、建築プロジェクトにおいて非常に重要な決断です。建物の安全性、耐久性、コスト、耐用年数などの様々な要素を総合的に考えて、最適な選択を行うことが大切です。

建築士は多角的な視点から、建物構造の種類を検討しますので、専門家へ相談しながら、建物構造の種類を決定すると良いでしょう。

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この記事を書いた人

はじめまして。キキです。
私たちは事業・住まいなど建築・インテリア、不動産とは一生関わっていきます。

夢の実現のための「起業から施設づくり」「住まいづくり」までトータルサポートをしたいという想いから、「建築・インテリア」「不動産」の役立つ情報を発信します。

【経歴】
建築・インテリア設計・工事のチェックを日々行っています。

【資格】
・一級建築士
・インテリアプランナー
・宅地建物取引士

私の経験が皆様の夢の実現のために参考になればと想いブログを書いてます。

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